中心静脈ライン
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化学療法に必要な静脈ライン(I.V.)を子どもに維持しておくのは難しいことですが、この処置をより容易にできる装置があります。使用する装置の種類は、治療内容と期間、患児の選択で決まります。最も一般的な装置は以下の2通りです。
体外式カテーテル: ブロビアックカテーテル(BROVIACR)、ヒックマンカテーテル(HICKMANR)など
体外式カテーテルは皮下に挿入するもので、手術により体内の大静脈、多くは胸部に留置します。カテーテルの一部が外に出ていて、身体に注射針を刺さずに使用できるため体外式と呼ばれます(※訳註:静脈に入れたカテーテルを体内に留置しておいて、それに接続する連結器に外に出し、そこに注射筒を接続して薬剤などを注入します)。皮膚のカテーテル挿入部位は常に包帯で覆う必要があります。担当の治療チームが定めた間隔で、包帯は定期的に交換しなければなりません。
この種のカテーテルを使用する場合、カテーテルの閉塞を防ぐために家族がヘパリンの投与法を学ぶ必要があります。ヘパリン投与の頻度は治療チームが決定します。家族は家庭で包帯交換する方法も教わります。
なお、ヒックマン(HICKMAN)およびブロビアック(BROVIAC)は、C.R.Bard株式会社およびその関連会社であるBCR株式会社の登録商標です。
皮下埋め込み型ポート: 皮下ポート、メディポート(Mediport)、ポート・ア・キャス(Port-A-Cath)、ポート、インフューザーポートなど
この装置も手術により留置するもので、通常は全体を胸部の皮下組織に埋め込みます。カテーテルが付いており、カテーテルは大静脈に挿入されています。ポートを使用する前には、特別な「ヒューバー針」を皮膚からポートへと挿入しなければなりません。これは治療チームが行います。皮下ポートに「接続」している間は、体外式カテーテルと同様に頻繁に包帯交換をしなければなりません。使用していない時は、特別の手当てをする必要はありません。
各種のカテーテルは、化学療法や小児がんの治療に必要なその他の静脈内注入と同じように使用されます。
カテーテル使用によるリスク
最もよくある合併症は、感染症と閉塞(ラインが詰まること)です。
カテーテル感染の徴候は、発熱、発赤、痛み、その部位からの膿などです。これらの症状がどれか一つでもあれば、担当の治療チームに直ちに報告しましょう。治療チームは診察を行い、適切な感染症治療を行います。
カテーテル閉塞は、血液凝固(血栓)によってカテーテルの管が詰まってしまった状態を指します。部分的な閉塞の場合と完全な閉塞の場合があります。治療チームが診察し、治療する必要があります。