脊柱側弯症と脊柱後弯症
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脊柱(「背骨」とも呼びます)は、背中の真ん中にまっすぐに積み上げられた骨の集まりで、筋肉と靱帯によって支えられています。小児がんの治療は時として脊柱に異常な湾曲をもたらすことがあり、これらは「脊柱側弯症」や「脊柱後弯症」として知られています。
「脊柱側弯症」とは
脊柱側弯症は、脊柱が横方向に湾曲することです。後ろから見ると、脊柱が真っすぐに見えずに、アルファベットの「S」か「C」の字のように曲がって見えます。
脊柱側弯症の症状は以下の通りです。
- 肩甲骨の高さが揃っていない
- お尻の左右の位置が揃っていない
- 腰の位置が揃っていない
- 背中が一方に傾いている
- 頭が骨盤の中央の上にない
- 片方の脚がもう片方よりも長い
「脊柱後弯症」とは
脊柱後弯症とは、背中の上部が異常に丸くなることです。横から見ると、猫背になっているように見えるか、あるいは背中に「こぶ」があるかのように見えます。
脊柱側弯症の原因とリスク要因
脊柱側弯症は特に10代に発症することが多く、ほとんどの場合、原因がよくわからない「特発性」のものです。しかしながら、胸部、腹部、あるいは脊柱に放射線治療を受けた人、特に手術と組み合わせて受けた人は、背中の筋肉や骨、軟部組織の発達が不均等なため、脊柱側弯症を発症するリスクが高くなります。
リスク要因のある人は以下の通りです。
- 胴体部(肩から骨盤までのいずれかの部分)に放射線治療を受けた場合で、特に次のようなケース
- 照射量が20グレイ以上
- 放射線治療が胸部や腹部の片側に対して行われた
- 胸部、腹部、または脊柱に手術も受けた
- 慣用電圧放射線治療(1970年以前に一般的に使用)
- 脊柱内または脊柱近くの腫瘍
- 神経線維腫症との診断を受けている
脊柱後弯症の原因とリスク要因
脊柱後弯症は、脊柱を支える靱帯が伸びることにより、脊柱の自然な湾曲が強くなって起きることがあります。また、放射線治療の結果、背中の筋肉と靱帯が不均衡に発達したせいで発症することもあります。小児がんの治療後に脊柱後弯症を発症するリスク要因は何なのでしょうか?
リスク要因:
- 胸部や胸郭(マントル(※)、縦隔、肺全体、腹部全体、上腹部を含む)への放射線治療で、特に、照射量が20グレイ以上の場合。(※訳注:頸部・腋窩・肺門・縦隔のリンパ節への照射を「マントル照射」と呼びます。)
- 全身照射(TBI)(※訳注:「TBI」とは「Total Body Irradiation」の略で、全身のがん細胞を消失させるとともに、骨髄移植に先立って、拒絶反応を防ぐ目的で宿主の骨髄幹細胞を根絶やしにして免疫力を低下させるために化学療法と併用して行われる全身照射のことです。)
- 脊柱への30グレイ以上の放射線治療
- 慣用電圧放射線治療(1970年以前に一般的に使用)
- 脊柱内または脊柱近くの腫瘍
- 神経線維腫症の診断を受けている
診断方法
脊柱側弯症と脊柱後弯症の徴候は身体測定で見つかることがあります。
診断は脊柱のX線検査で確定します。X線写真において、脊柱側弯症は脊柱が横に(左右に)10度以上湾曲している場合に、脊柱後弯症は脊柱が50度以上湾曲している場合に診断されます。
治療方法
脊柱側弯症と脊柱後弯症の治療は、通常、いくつかの段階ごとに行われます。
第一段階は概ね「経過観察」となります。この段階では、特に思春期のように急激に成長する時期においては、弯曲の度合いが綿密に監視されます。弯曲が悪化しなければ、経過観察だけで十分です。
弯曲が進行する場合には、一般的に、次の段階で装具(衣服の下に装着するプラスティック製の装具)を付けることになります。装具の目的は、弯曲の進行を止め、異常な脊柱の弯曲を治す手助けをすることです。
治療の最終段階は手術になります。経過観察や装具だけでは対処できないほど弯曲がひどい場合に行われます。
必要な経過観察
脊椎側弯症や脊柱後弯症が疑われた場合には、脊柱のX線写真を撮るべきです。脊椎側弯症においては10度以上、脊柱後弯症においては50度以上の弯曲が見られるみられる場合、通常、整形外科医(骨の専門医)へと紹介されます。
Wendy Landier [RN, MSN, CPNP, CPON] City of Hope, Duarte, CA