父親の想い②『父として』
「父として」
By イヴの父 ジョー
父親は家族を守るものだと思われています。自分の城を守り、こどもを守るためには自分の命を投げ打つという思いが、私にもあります。
しかし、わが子ががんと診断されたら、多くの父親は怒りか無力感のどちらかを感じると思います。病気は不意に来る強盗のようです。その時の父親というのは、自分の娘が捕らわれの身となっているのに、役に立たない武器を持って馬鹿みたいに立っているようなものだと感じます。
娘ががんの診断を受けた瞬間、妻と私は役割を分けることにしました。
私の担当は実務でした。診断はどのようなことか、手術の結果はどうか、どこに泊まるのか、保険の手続きや飼い犬はどうするか、などです。
妻の担当は精神面のケアでした。娘や家族が穏やかに過ごせるようにし、見舞客に対応し、自分自身の健康を犠牲にしてでも1日24時間、務めを果たしました。見舞客、看護師、医師、他の患者、清掃スタッフといった人たちの相手をしているうちに、妻はとうとう疲れ果ててしまいました。
そこで私たちは、計画を立て直さなければならないということに気づきました。
《自分たちができることをはっきりさせる》
例えば、妻が看護、それ以外を私が引き受けました。平日は彼女が病院で寝泊まりして娘を見守り、その間は私が家にいて母親役を務めました。
《友人にも手伝ってもらう》
「何かできることはある?」と聞かれたら、具体的な要望を伝えました。私たちの友人は、洗濯、芝刈り、家の片づけ、きょうだいの世話(近所のお祭り、プール、外泊に連れて行くなど)をしてくれました。
《良いことは続け、悪いことは無視する》
妻が1週間ずっと病院に詰めている間、私は他のこどもたちと一緒に寝たり、食事をしたり、テレビを観たりと、できるだけいつも通りに楽しく過ごすようにしました。
《時々、休む》
妻には、「こどもたちが側にいない時には泣いても構わないよ」と伝えていました。でも、病室にいる時は明るく振舞わなければなりません。付き添いを交替して、睡眠、食事、入浴の時間をつくって、良い状態で病室に戻りましょう。
《新しい生活が現実であることを受け入れる》
新しい生活で、自分の価値観が変化しました。無力感や自分の弱さを知った時、私の武器は忍耐とサポートすることだ、と気づきました。父親としては大きな転機でした。
この病気は家族を崩壊させるかもしれません。でも、私は、再び一つに団結させる可能性も持っていると信じています。それは、父親次第だと思います。父親の仕事とは、自分の要望や希望は二の次で、自分とたたかい、家族のためにはどんな犠牲をもいとわないことです。私たちがこれまでに行ってきたことで、一番よいことなのです。