家族の感情 ~きょうだい、パートナー~

 病院で患児の世話をしていると、家族が何を望んでいるかを忘れがちになります。家族の関係は、与えることと受け取ること、この両方で成り立っています。困難を乗り切るには、家族どうしが何かを与え合うことが大切です。
 家族や親自身が必要としていることについて、考えてみましょう。利用可能な支援もあります。

患児のきょうだいは何を望んでいるのでしょうか?

 何を望んでいるか、親が直接聞くのもよいでしょう。こどもたちに「いつも自分のことを思ってくれている」と認識できるような物を持たせるのも有効です。またこの逆で、こどもたちが自分の物を持っていて欲しいと言うかもしれません。
 パートナー、きょうだいの面倒をみてくれている人に、こどもたちが何か言っていなかったかを聞いてみましょう。他の患児の親、ソーシャルワーカ-、心理療法士などの意見も参考にしましょう。

患児のきょうだいにどうして欲しいのでしょうか?

 親は、自分が何を必要としているのか、患児以外のきょうだいに不足していること、などを考えるとよいでしょう。それは、意外にも、親自身が必要としていることかも知れません。
 例えば、病院での付き添いの間、電話でその日の様子を話すなど、こどもたちと特別な時間を作ることはできるでしょうか。週に1度はきょうだいと一緒に過ごしたり、一緒に過ごす時を「○○の日」と名前をつけてみたり。何をするか話し合って計画を立てるのもよいことです。
 たとえ1時間でも、病気と関係無い活動をすることで、親もリフレッシュできます。

自分とパートナー、お互いに必要としていることは?

 患児ときょうだいの世話をしていると、親は自分達のことを忘れがちです。パートナーに言葉をかけたり、要望を聞くことも大切です。
・褒めたり、労わりを表す言葉
・十分な睡眠をとること
・付き添いを一日休むこと
・一緒に過ごすこと
・家族にとって大切なことや、しばらくはあきらめても良いことは何か。
 また、それらを話し合う時間。

 こどもたちとより多くの時間を過ごすために、時間をどう配分するか、後回しにすることは何かなど、親同士で話し合うことが大切です。例えば、経済的な問題や、患児の親としての感情、願い、希望などです。考え方が違ったとしても、話すことで怒りや失望を防ぐことができます。
 患児の状況によって親に求められることが変わると、何度も話しをすることになるかも知れません。しかし、話し合いを続けることが何よりも大切です。

患児の両親が離婚している場合

 こどもが病気になれば、親同士の関係も変化します。病気のことを伝えれば、かつてのパートナーも患児の親として同じようにショックを受け、不安を感じるかも知れません。つらい状況でも、お互いが長所を活かし合い、離婚の影響を出さないように患児のケアができれば、患児にとっては最良です。
 一般論ですが、両親が患児に関わることはとても大切なことです。連絡を取り合うことなども含めて、難しいと感じたり、迷うことなどがあれば、病院のソーシャルワーカーに相談することをお勧めします。

お互いの役割について、率直な話し合いが必要なことの例:
・医師からの説明をいつ、どちらが聞いて、誰に教えるか。また、それをどちらが患児に説明するか。
・面会はどうするか。
・病院での夜間の付き添いなど、患児と一緒にいる時間の分担について。
・患児の義理の親(訳注:再婚相手)の関わり方。
・治療に伴い変化する家庭の経済状況をどう解決するか。

日本版更新20212

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