家族の感情 ~祖父母・親戚~

 病院で患児の世話をしていると、家族が何を望んでいるかを忘れがちになります。家族の関係は、与えることと受け取ること、この両方で成り立っています。困難を乗り切るには、家族どうしが何かを与え合うことが大切です。
 家族や親自身が必要としていることについて、考えてみましょう。利用可能な支援もあります。

患児の祖父母

 孫ががんになると、祖父母は大変なショックを受けます。孫の身に何が起こっているのか、医学的に知りたいと思うかもしれません。また、祖父母自身に、安心したり考える時間が必要になるかも知れません。その場合は、医学的な情報を分かりやすく説明できる親族や親しい友人がいるとよいでしょう。
 祖父母は、彼らのこどもである患児の親を心配します。それが親にとっては重荷に感じることもあります。親は、泣きたい気分だとしても、祖父母には大丈夫だと伝えて安心させるようにしましょう。
 また、祖父母にも病気があったり、施設や遠方で暮らしている場合もあります。親は患児の付き添いが最優先なので、祖父母を安心させるのが難しくなります。もしくは、自分の両親の世話ができないと、申し訳なく感じるかも知れません。祖父母には、患児である孫が親を必要としている、と理解してもらうことが大切です。

患児の親が、患児の祖父母に望むこと

 人生の岐路に立たされている時、心の支えである親と一緒に泣きたくなることがあるかも知れません。患児の祖父母が元気であればそれも可能です。そうではない場合、祖父母ができることを現実的に考える必要があります。親は 「かつて、自分の親に望んでも、叶えてくれないことがあった」ということを再体験し、患児の闘病中に苦痛を覚えるかも知れません。患児の親にとって頼れる人を探してみましょう。

 また、離れて暮らしていても、精神的または経済的なサポートが可能です。もしも祖父母が「看病を手伝いたい」「患児に会いたい」という場合には、親は多少の「わがまま」を言っても良いでしょう。親にとって、祖父母に来て欲しいのはいつ、どのような時でしょう。患児のきょうだいの世話もあります。
 祖父母が「ただ会いたい」というのであれば、「今は短い時間で。患児の退院後に忙しくなったら、改めて訪問して手伝う」ということでも構いません。
 祖父母の体調が悪い場合、患児や家族への感染を防ぐため、祖父母は改めて訪問することが大切です。

 患児の祖父母が既に亡くなっている場合、親に、今回のことで大切な人を失う悲しみが甦ることがあります。どれほど孫を可愛がっていたか、その子ががんになったことを知ったら祖父母がどれほど悲しむか、などと親は考えてしまいます。 このような感情は根深いものなので、親の心の健康のためにもメンタルヘルスの専門家を勧めてもよいでしょう。

親戚

 患児の診断に驚いた親戚が、状況を知りたくて連絡をしたり、面会を希望することがあります。それが善意からとはいえ、親が対応するのが大変な時があります。その場合は、親戚の中に、患児や親の負担を考慮して親族間を調整する人がいるとよいでしょう。
 (訳注:日本では、病院での面会に制限を設けている場合も多々あります。「事情を把握して十分に理解し、味方となってもらえる存在として居てくれることが嬉しい」などと伝えられるとよいでしょう)

日本版更新20212

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