学習時のサポート
病気や治療が原因で起こる問題
小児期または青年期のがんの治療は、長期欠席や体力・気力の低下を伴います。そのため、学習の進み具合に影響を及ぼす可能性があります。さらには、がんの種類にもよりますが、がんが脳または脊髄(中枢神経系)へ広がるのを抑えたり防止するための治療が必要になります。この治療は、学習能力に影響を与えることもあります。
学習時に起こる問題を知り、見守りながら、必要に応じてサポートを行いましょう。
起こり得る問題
脳は複雑な構造をしており、小児期から青年期にかけて成長と発達を続けます。そのため、治療が終了して何年も経ってから、問題が明らかになる場合もあります。
一般的な問題は次のとおりです。
- 注意力
- 集中力
- 記憶力
- 学習速度
- 社会的状況(特に、小児がんを理解していないこどもの場合)
問題の要因
- 幼少期にがんの診断がされること
- 欠席日数の増加や長期欠席
- 体力・気力の低下
- 治療による聴覚、視覚への影響
- 治療による身体障害
- 中枢神経系などへ治療の影響
- 「がん」と診断される以前からある学習上の問題
学習面での問題が現れる病気について
下記の種類のがんを発症した患児は、学習や記憶力に影響すると考えられる治療を受ける可能性が、より高くなります。しかし、様々な治療法があるので、これらのがんに対して治療を受けた患児の全員のリスクが高くなる、というわけではありません。
- 眼、眼窩、頭部、または顔面に存在するがん
- 急性リンパ性白血病(ALL)
- 非ホジキンリンパ腫(NHL)
心理学的評価とテストのすすめ
学校で問題を抱えているこどもについては、小児がん問題について詳しい児童心理の専門家によるテストを受けることをお勧めします。脳腫瘍の様な疾患の、将来、学習障害が起こるかも知れません。今は特に問題が見られなくても、後に身体の状態が良い時との比較が出来るよう、あらかじめテストを受けておくとよいでしょう。
親と教師は、患児の学習進歩を注意深く見守りましょう。患児が学校で問題を抱えた場合や、前述のような問題が生じた場合にもテストが必要になることがあります。また、小学校、中学校、高校の進学時や、学習計画の作成時など、学習に関する問題が発生しやすい時期にも、テストを何度か受けることをお勧めします。
学習時のサポートの例
問題があるとわかった場合には、患児の学習能力を最大限に引き出すために、施設やサービスも探すとよいでしょう。まず、患児の学習計画の見直しに、学校と打ち合わせの機会を持ちましょう。多くの患児の学習に役立っているのは次の通りです。
- 教室の前の方に座らせる。
- 書くなどの作業量を最小限にし、キーボードやタブレット、電卓などを使用する。
- 教科書や授業を録音する。
- 試験の際、実施条件を変更する(時間延長、筆記試験の代わりに口頭試問を行う、など)。
- 補助教員をつける。
- 計算、読み書き、やるべきことなど、ものごとを整理して計画することをサポートする。
- 教科書を、学校用と自宅用の2セット用意する。