面談に臨むにあたって
親にとって、“がんの診断”というショックや、病気や治療に関する膨大な情報に圧倒されるのは、当然のことです。また、情報が非常に複雑になることもあり、誰もが集中できなくなることがあります。親にとってたいへんなことであることを、主治医や治療チームはよく分かっています。
患児の治療の選択に関わる面談(インフォームド・コンセント、意思決定のための場)は、とても重要です。親も治療チームの一員です。患児がどの治療を受けるかの決定を求められるかもしれません。複数の選択肢がある場合はとても難しいことです。また、その内容を理解するために、患児の状態について、つらい話を聞かなければならないかもしれません。時には、治療のリスクについて説明しされることもあります。
これらの情報によって、親は、既に生じている激しい感情がさらに強くなる可能性があります。この状況下で激しい感情を持つことは当然のことであり、医療者は家族が乗り越えてくれることを期待しています。
小児がんの治療については、成果が上がってはいます。しかし、最も難しいことは、治療がうまくいくかどうか誰にも断言できないということです。また、患児に悪い副作用が起こるかどうかは、医師たちにも分かりません。この不確実性が、親が感じている苦痛をさらに増大させる可能性があります。
治療チームの役割は、親が必要な時間をかけて情報を理解し、十分な情報に基づいた決断ができるようにサポートすることです。患児の治療をすぐに始めることも重要ですが、この面談で治療チームと十分に話すことも大切です。
他の親からの提案
- メモを取り、聞いたことを理解できているか確認するようにしましょう。
- 話のペースを落としたり、再度説明してもらっても大丈夫です。
- 面談前に何についての面談かを聞いておき、質問事項を準備するのもよいかもしれません。面談の前後に看護師と同意書を確認することができます。
- 考えをまとめるために、面談中に5~10分の休憩をとれるか
聞いてみましょう。
医師の話し方が速すぎたり、知らない用語を使う場合、「説明を繰り返して欲しい」「分かりやすい言葉を使って欲しい」「文字で書いて欲しい」など要望があれば、躊躇せずに伝えましょう。医療チームは毎日沢山の患児と会うので、みなさんがこの病気に初めて向き合っていることを忘れてしまうことがあります。専門用語を使いがちですし、速く話す場合もあるかもしれません。
医療チームは何が起こっているのかをみなさんに理解して欲しいと思っています。理解できるまで何度でも質問しても構いません。また、時間が経つにつれて、ゆっくりと確実に、話の内容が理解しやすくなってきます。内容を確認するために再度の面談を依頼することもできます。
面談で多く質問されるのは次の内容についてです。
- 診断に関するより詳しい説明
- 検査結果に関する説明
- 他の医療機関での治療の可能性
- 医学用語の意味
- 痛みや不快感に対処する方法
- 治療が患児の学習能力に与える影響
- 患児の髪が抜けるかどうか
- その治療が後々、患児の健康に影響を及ぼすかどうか
- 入院の予定期間
- 自宅ではどのようなケアが必要になるか
- 治療が患児の妊孕性(にんようせい:妊娠するための力)に影響するかどうか
他の親からのひとこと
- ノートとペンを持ち歩いて、思いついたときに質問を書き留めておくと便利。そうすれば、質問する機会があれば、すぐ思い出せます。
- 面談を録音しておくと、後で聞き直すことができます。病院に貸出用のデジタルレコーダーがあるかを、看護師やソーシャル・ワーカーに聞いてみましょう。ノートパソコンやスマートフォンを持っていれば、それで録音できるかもしれませんね。
- 検査結果や共有した情報のコピーをもらっておくと、後で思い返す際に役に立ちます。多くの親は、この資料をバインダーに整理して管理していますよ。
日本語版更新:2020年6月