臨床試験とは

 標準治療(現在最も有効と考えられている治療法)と、より効果的で患者の負担減少が期待される治療法とを比較します。新しい薬剤、異なる薬剤の組み合わせ、その他の新しい治療方法を用いる新しい治療計画が、治験(治験治療)です。治験は、「新しい治療には少なくとも標準治療と同程度の効果がある」と考えられることから実施に至ります。その時点では、どの点で優れているかはまだわかっていません。新しい治療は効果という点では標準治療と非常に近いと考えられているので、比較検討するのです。

 どちらの治療が優れているかを知る最良の方法は、ある患児が標準治療を受け、別の患児が新しい治療を受けるという臨床試験で比較することです。このような比較には未知の事柄があるため研究を行います。他の治療よりも効果が高いか、副作用が少ないかなどが分かるかも知れません。どちらの治療が優れているかがわからないからこそ、臨床試験が行われます。

 比較を公平にするため、「ランダム化(無作為化)」というプロセスで、患児を各治療計画へと振り分けます。これは、患児がいずれかの治療計画に割り当てられる機会を均等にする、ということです。ランダム化はコンピュータを用います。患児のがん治療という重要な物事を決める際にこのような考え方を用いることは、理解しにくいかもしれません。しかし、どちらの治療も患児に効果があると期待されている治療で、意味があることなのです。

 この時点では、どの治療が優れているかはわかっていません。もしも治療中に大きな差異があることがわかれば、「より優れた治療」に切り替えることもできます。わからないことがあれば、主治医に聞いてみましょう。

 がん治療の歴史を知ることも役に立った、という親もいます。 がんの治療は、どの治療の組み合わせ方が最も効果的かを研究することで進んでいきます。患児のがん種について、過去の治療の歴史や医師が学んだことを聞くことで、「判断する上で参考になった」と言う親もいました。

 小児がんの標準治療は、長年にわたって、一歩ずつ着実に進められてきました。今日の標準治療は、過去に臨床試験に参加した何千もの家族のお陰です。現在の治療計画がどのように開発されたかを知ることで、より自信をもって判断できるようになるかもしれません。

日本語版更新:20206
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