二次性の乳癌
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小児期・思春期のがんをしっかりと治療し終えたら、これからの人生に向き合う必要があります。覚えておいていただきたい重要なことは、成人後に別のがんが生じるリスクがあるということです。様々な理由から誰でも歳をとれば発がんのリスクが高まりますが、小児がんに対して受けた特別な治療が、将来、乳癌になるリスクを高めている可能性があります。
二次性乳癌のリスク因子
小児期・思春期または若年期に胸部への放射線治療を受けた女性は、同じ年齢の一般の女性に比べて、年齢を重ねた後に乳癌にかかるリスクが高くなるという複数の報告があります。乳癌になるリスクは、受けた放射線治療の線量に関係します。すなわち、高線量の放射線治療を受けた場合にリスクが大きくなります。二次性乳癌の発症リスクの要因や予防策に関しては、より詳しい研究が行われているところです。
現在までにわかっている乳癌のその他のリスク因子は以下の通りです
- 初潮の発来が早い(12歳以前)
- 閉経が遅い(55歳以後)
- 出産経験がない、または、30歳を超えてから初産を経験した
- 乳癌の家族歴がある
- 肥満傾向
- 生活習慣が運動不足である
さらに、以下も乳癌発症に関係がある可能性があります
- 食事に脂肪分が多い
- アルコールの摂取が過多である
- 授乳経験がない
- 喫煙歴がある
- 経口避妊薬を使用したことがある
- ホルモン補充療法を長期間受けている
発症しやすい時期
二次がんとしての乳癌の発症リスクは、放射線治療を受けた後の5~9年間に高くなり、その後も年齢が上がるにつれて高くなっていきます。すなわち、小児がん・思春期がんに対して胸部に放射線治療を受けた女性は、一般の女性が乳癌になる年齢(通常50歳以上)よりもはるかに若い年齢(通常30~40歳)で発症することになります。
健康を保つには
小児期・思春期または若年期に胸部に放射線治療を受けた女性であっても、大多数は乳癌を発症しません。しかし、もし胸部に放射線治療を受けたことがあるならば、同年代の放射線治療を受けていない女性よりもリスクが高いと理解しておくことが大切です。健康を保つための最善の方法、それは乳房を自分で注意深く経過観察していくことです。そうすれば、万一がんを発症しても、治療が最も効果的な早期のうちに発見することができます。
経過観察の方法
小児期・思春期または若年期に胸部に放射線治療を受けたことがある女性は、以下のことを行うべきです。
- 月1回、乳房の自己検診を行いましょう。しこりや変化があったら、かかりつけ医にすぐに相談しましょう。
- 25歳になるまでは年1回、その後は6ヶ月に1回、かかりつけ医による乳房の診察を受けましょう。
- 25歳以後、または、放射線治療から8年経過した後、のいずれか遅い方のタイミングからは、年1回、マンモグラフィー検査を受けましょう。
二次性乳癌のリスクを減らすために
生活習慣を以下のように改善すると、乳癌のリスクを減らすのに役立つかもしれません。また、健康を保つのにも役立つことでしょう。
- 果物や野菜をよりたくさん食べましょう。(1日に5皿以上がおすすめです)
- 1週間のほぼ毎日、最低30分間は運動をしましょう。
- 体重が標準以上ある場合は、多すぎる分を減らしましょう。
- アルコール飲料の摂取は1日1杯までにしましょう。
- タバコを吸っている場合は禁煙しましょう。
- 赤ちゃんがいる場合は、生後4ヶ月までは授乳するように努力しましょう。
- ホルモン補充療法や経口避妊薬が必要な場合は、その効果とリスクについて専門医と十分に話し合いましょう。
- 有害な化学物質や殺虫剤などに接触する機会を減らしましょう。もし仕事で化学物質に接触しなければならない場合には、防護具を使用してください。
M. Hudson [MD], W. Landier [CPNP]