腎臓の健康

腎臓に問題を起こし得る治療

  • 膀胱あるいは腎臓を含めた部位に対する放射線治療
  • 特定の抗がん剤 シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサート、イホスファミドなど
  • 細菌や真菌による感染の治療に使われる特定の抗生物質 トブラマイシン、ゲンタマイシン、アンホテリシンなど
  • 移植片対宿主病(GVHD)の治療に使われる特定の免疫抑制剤 シクロスポリン、FK-506(タクロリムス)など
  • 腎摘除術もしくは膀胱摘除術(腎臓あるいは膀胱の外科的な摘出)

腎臓の問題は、治療中に生じ、その後もずっと続く場合と、一方、治療が終了して何年も経ってから生じる場合があります。

ページの先頭に戻る↑

推奨される経過観察

このような治療を受けたことがある小児がん経験者は、年一回の健康診断で、腎機能と血圧の検査を受けるべきです。これらには、腎機能と電解質(塩分などの無機質)を測定するための尿検査と血液検査が含まれます。また、腎機能をより詳しく調べるために特殊なX線検査が必要になる場合もあります。詳しい診断を受けたい場合には、かかりつけ医が腎臓病を専門にしている小児科医・内科医・泌尿器科医などを紹介してくれます。

ページの先頭に戻る↑

腎臓を健康に保つために

  • 水をたくさん飲みましょう。
  • 尿路感染症の症状が現れた時は、直ちにかかりつけ医に連絡しましょう。
  • 抗炎症剤は、非ステロイド系のものを注意深く使いましょう。アスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ナプロキセンなどの鎮痛剤や解熱剤は非ステロイド系抗炎症剤です。痛みを抑えるために長期間にわたって鎮痛薬を服用する必要がある場合には、かかりつけ医と別の方法がないかについて話し合い、腎臓に有害でない薬を選ぶようにしましょう。
  • 少なくとも年一回、過去に受けたがん治療に応じて推奨される検査が含まれた健康診断を受けるようにしましょう。

ページの先頭に戻る↑

推奨される経過観察の概要

受けた治療内容 推奨される経過観察の内容 頻度
イホスファミド
シスプラチン
カルボプラチン
血圧検査を含む定期検査 年1回
腎機能を調べるための血液検査
(血中尿素窒素濃度(BUN)および血清クレアチニン値の測定)
年1回
尿検査 年1回
血液検査による血中電解質(塩分などの無機質)濃度の測定 最初の定期検診の時(*)
それ以降は5年に1回
腎機能検査(クレアチニン・クリアランスもしくはGFRスキャン)
(※訳注:GFRスキャンとは、微量の放射性物質を静脈から注入して腎臓の排出機能を調べるX線検査のことです。)
最初の定期検診の時(*)
問題が見つかった場合は、定期的に繰り返すこと
腎臓を含む部位への放射線治療
膀胱摘除術
血圧検査を含む定期検査 年1回
腎機能を調べるための血液検査
(血中尿素窒素濃度(BUN)および血清クレアチニン値の測定)
年1回
尿検査 年1回
血液検査による血中電解質(塩分などの無機質)濃度の測定、および、腎機能検査(クレアチニン・クリアランスもしくはGFRスキャン) 高血圧、タンパク尿、BUNまたは血清クレアチニンの異常値などの問題が見つかった場合は、定期的に繰り返すこと
膀胱摘除術
(上述の推奨検査も参照してください)
尿の細菌検査 年1回
泌尿器科医による診察 年1回
メトトレキサート 血圧検査を含む定期検査 年1回
腎機能を調べるための血液検査
(血中尿素窒素濃度(BUN)および血清クレアチニン値の測定)
最初の定期検診の時(*)
尿検査 最初の定期検診の時(*)
血液検査による血中電解質(塩分などの無機質)濃度の測定、および、腎機能検査(クレアチニン・クリアランスもしくはGFRスキャン) 高血圧、タンパク尿、BUNまたは血清クレアチニンの異常値などの問題が見つかった場合は、定期的に繰り返すこと
(*)長期フォローアップの第一歩となる最初の定期検診は、がん治療の終了後、2年以内に受けるべきです。

Anne Mauck [RN, MSN, CPNP]

トップページへ戻る