ホジキン病
ホジキン病は、リンパ組織系のがんです。リンパ組織系には、リンパ節、扁桃腺、骨髄、脾臓、胸腺などの様々な器官、組織が含まれています。これらの器官、組織は感染や疾患と闘うための白血球をつくり、それを貯蔵したり運搬経路となったりします。
ホジキン病は、米国の15歳未満のがん患児の5%を占めます。乳幼児の症例も報告されていますが、5歳未満では稀であると考えられています。症例数は10代で顕著に上昇し、思春期の発生率が最も高く、16%を占めます。
ホジキン病患者の大半には、リンパ節腫大と呼ばれるリンパ節の腫れが見られます。このリンパ節の腫れは普通の感染により生じた場合よりも大きく、抗生物質の治療では効果が見られません。リンパ節腫大は頚部または鎖骨上に認められるのが一般的で、腋下(※訳注:わきの下)や鼠径部(※訳注:足の付け根)にも稀に見られます。ほとんどの場合は無痛で硬く、ゴムのような弾力があり、可動性があります。
食欲不振、体重減少、寝汗、発熱、気分が悪い、疲れやすいなどもホジキン病の患児にみられる一般的な症状です。いずれも身体全体に影響する「全身性の」症状です。
ホジキン病のもうひとつの症状として、かゆみ(掻痒[そうよう])があります。軽症のことも重症のこともあり、病気が進行した場合に見られやすい症状です。かゆみは小児にはそれほど多く見られません。
ホジキン病の原因は不明です。集団の罹患率を調べた疫学調査によると、疾患に影響していると考えられる要因は複数あることが示唆されていますが、どの要因がこの疾患を直接引き起こすかは明らかになっていません。
ウイルスや細菌
ウイルス単独では発病しませんが、ウイルス感染とホジキン病の発生とは関連がある可能性があります。エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)は伝染性単核球症の原因となるウイルスで、ホジキン病の20~30%の患者の腫瘍組織に検出されます。しかし、これが直接の病因であるかは不明です。大半の人は成人までにEBVに感染しますが、ホジキン病になる人はほとんどいません。このためEBVの関与については、さらに研究が必要です。
遺伝的特質と環境
ホジキン病患者の近親血縁者では、発症リスクが高くなることが報告されています。特に同性の兄弟や姉妹に多くみられます。兄弟姉妹間の発症リスクは2~5倍高いものの、実際にホジキン病に罹患する可能性は極めて低いです。ホジキン病患者が家族および特定の人種集団に集中するという結果から、病気の感受性に遺伝的素因があるのではないかと考えられます。
免疫機能の不全
ホジキン病は免疫機能の低下した人で発生頻度が高くなります。免疫不全は、遺伝性のものと後天性のものがあります。ヒト後天性免疫不全ウイルス(エイズの原因であるHIV)の感染により起きることもあります。