患肢切断術後の健康管理
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患肢切断術は、小児の腕や脚にできた骨腫瘍または軟部腫瘍の治療として行われるほか、合併症(例えば感染症など)のために必要になる場合もあります。
このページでは、小児がんに起因する患肢切断術について知っておくべきことを記載します。
手術後に起こり得る問題
この手術に適応するには時間がかかります。手術後に起こる可能性のある問題は以下の通りです。
身体上の問題:
- 人工装具(※訳注:義肢・義足・義手などのこと)が合わないせいで、皮膚に水泡、発赤、内出血(紫斑)などができる
- 手術で失った箇所が今も痛んでいるような感覚(幻肢痛)がする
- 手術をした患肢に電撃痛、深刻な痙攣、灼熱感がある
- 手術をした患肢の皮膚が脱落する、傷の回復が遅れる
- 身体機能の低下を補うために他の筋肉群や患肢以外の手足を使う機会が増え、背中や他の筋肉が痛む
- 日常の動作を行うのに多くの努力を要する
- 運動量が減少し、体重が増加する
- 体重増加、運動量の減少、不健康な食事により、糖尿病が進行する
- 一部の症例では、痛みが継続する
(詳しくは「慢性疼痛」のページを参照してください。)
気持ちの問題:
- 自分の外見が変わったことに苦悩する
- 不自由な身体で仲間と同じことをしなければならないことや、外見の変化の問題に対処しなければならないことにストレスを感じる
- 自分が他の人と“違う”という事実に向き合わなければならない
- 不安感、自信喪失、悲しみ
日常生活上の問題:
- 新しい人工装具の作成に費用がかかる
- 行くのが大変な場所でも行かなければならないことがある
- 公共交通機関(飛行機、電車、バスなど)を利用する際に支障がある
健康に過ごす方法
健康な状態で過ごすためには、以下の注意事項を守ってください。
- 手術後の患肢は清潔で乾いた状態を保ってください。
- 皮膚の色の変化や脱落などの異常がないかどうか、毎日チェックしてください。
- 人工装具と一緒に使うアイテム(例えば、断端部に使用する包帯、弾力性のある衣類、断端部用の靴下など)はこまめに洗濯しましょう。
- 身体が成長し終わるまでは6カ月に1回、その後は年に1回、何か問題が起きた場合にはすぐに、人工装具が合っているかどうかを確認してもらいましょう。
- 歩行、日常生活上の動作、運動(動きの範囲、強さ、敏捷性、バランスなど)については、理学療法士や作業療法士に相談しましょう。
- 年1回、健康診断を受けてください。
- 健康的な食事と適切な運動量を維持しましょう。
装具士に見せるべき時
以下のようなことが起こる場合には、担当の装具士に連絡してください。
- 音の種類(例えば、キーキーいう音、コルク栓を抜くような音、クリック音など)を問わず、人工装具から音がする場合
- 人工装具のどこかが壊れた場合
- 人工装具の部品などを交換する必要がある場合
- 成長により人工装具が合わなくなった場合
- 人工装具を装着している間、痛みが続く場合
【参考情報】
問題に直面したら、どんなことでも担当医に相談してください。
また、米国の「Amputee Coalition(患肢切断術を受けた人の会)」のウェブサイトは英文サイトですが、教育に関する情報、各種提言、ピアサポート(※訳注:同じ立場の人による支援)の情報のほか、便利な手引きなどを提供しています。