二次性の大腸癌
INDEX
一部の小児がん経験者は、成人になってから大腸癌(結腸癌や直腸癌)を発症するリスクが同年齢の一般の人たちよりも高くなっています。このページでは、リスクを理解し、大腸癌を予防するために知っておくべきことを記載します。
二次性大腸癌のリスク要因
小児期、思春期、若年成人期に胃、骨盤、脊椎に中程度以上の線量の放射線治療を受けた人は、放射線治療を受けたことのない同年齢の人よりも大腸癌の発症リスクが高いことが研究によってわかりました。
その他にリスクが高まる要因は、以下の通りです。
- 大腸癌または大きな大腸ポリープの既往歴がある
- 60才未満で大腸癌にかかった近親者がいる
- 潰瘍性大腸炎またはクローン病である
- 遺伝性大腸癌症候群(例えば、家族性大腸ポリポージス)である
大腸癌の発症リスクは、放射線治療の約10年後に高くなり始めます。
大腸癌の症状
大腸癌は初期のうちはほとんど症状がありません。したがってリスクの選別が非常に重要です。ひとたび癌が進行すれば症状が出始めます。以下のような症状のいずれかがある場合には、すぐに担当医の診察を受けてください。
- 直腸からの出血
- 血便、または排便後に便器内に出血が見られる
- 便の形状の変化
- 胃の下部における締め付けられるような痛み
- 排便時における不快感、または、必要がない時に排便衝動が起こる
- 排便頻度の変化
担当医はこれらの症状の原因を調べてくれます。
大腸癌のリスクがある場合
放射線治療を受けても大半の人は大腸癌になりませんが、大腸の経過観察を受けることは重要です。通常、早期に見つかれば大腸癌は治癒できます。また、リスクを減らすために効果的な方法をとることもできます。
担当医と定期検査について相談する
小児がんの治療のためにどれくらいの放射線を受けたかについて知るため、治療記録を確認してください。(詳しくは長期フォローアップ受診に関するページを参照してください。)
胃、骨盤、脊椎に30グレイ以上の線量で放射線照射を受けた場合は、35歳になった時または最後に受けた放射線治療の10年後から、少なくとも5年おきに大腸内視鏡検査を受け続けなければなりません。放射線被曝量を計算する時は、「全身照射」などのあらゆる放射線治療を含めてください。
受けた線量が30グレイ未満の場合、あるいは「全身照射」の場合、大腸癌発症のリスクがあるかもしれませんが、研究では確認できていません。大腸内視鏡検査をいつ受け始めるべきかについては、担当医と相談してください。
健康的な食事を摂る
大腸癌の発症リスクを減らすためには、穀類、野菜、果物を中心に、いろいろな種類の健康的な食品を食べてください。
- 毎日、多くの種類の野菜や果物を5杯以上食べてください。
- 精製された穀類や白砂糖よりも、精製されていない全粒粉(※)や玄米などを選びましょう。
(※訳注:「全粒粉」とは、通常の小麦粉では取り除かれる種皮(ふすま)や胚芽等も含めた粒全体を粉砕して粉にしたものです。) - 牛肉などの濃赤色の肉、特にそれらの加工品(例えばソーセージやサラミなど)と脂肪が多い部分を控えましょう。
- 健康的な体重を保てる食品を選んでください。
活動的に過ごす
大腸癌の発症リスクを減らすために、週に5日以上は適度な運動(例えば少し速めのウォーキングなど)を30分以上しましょう。週に5日以上、精力的な運動(例えばランニングなど)を45分以上行うと、大腸癌の発症リスクはさらに低くなることでしょう。