患児の想い②『僕たちが小児がんを撲滅する』
「僕たちが小児がんを撲滅する」
by ジャック・ウインターズ
患者として、がん研究推進の支持者として、小児科の看護師として、僕は何百人ものこどもと家族が逆境を克服し、充実した人生を送るのを見てきました。彼らの勇気のお陰で、僕は希望と愛を信じ、暗闇から抜け出すことができました。そして、人間の精神の強さを学びました。
16歳の時、横紋筋肉腫と診断されました。当時は高校2年生で、水泳やボート競技、高校新聞の執筆などに打ち込んでいました。
診断を受けたとき、僕は大きなショックと不安を感じました。沢山の専門医を受診し、毎日が台風のようでした。そして、ニューヨーク市のがんセンターで化学療法を開始しました。ハイリスクでも予後は良好だったので、頑張ろうと思っていました。しかし、治療を受けている間に、がんは再び進行し始めました。そこで、150キロ離れたコネチカット州の大学病院に転院して、手術、放射線療法、より強い化学療法を行いました。
僕の治療期間は全部で1年半。そして、9年経った今でも再発していません。とても嬉しいです。
多くの人は、がんがこどもの病死第1位であることを知りません。そしてがんを克服したこどもの3分の2は、成人してから強い治療の影響が出る晩期合併症も知りません。小児がんの厳しい現実が知られていれば、僕たちは協力して新しい治療法や治療薬を見つけることができると思います。僕の場合、嘔吐のために1日のほとんどを病院で過ごしました。また、化学療法で食道を痛めたため、痛み止めの麻酔薬を持続的に注入しました。言いたくないことでも、根絶させなければいけない病気だということを認識することが重要なのです。
僕と同じ経験をしているこどもたちに伝えたいことは、
「自分に幸せと希望を与えることに集中して欲しい。それはみんなの家族のこと、友人のこと、読書、自然、テレビを観ること、祈りかもしれない。泣いたり、セラピストに会ったり、枕を叩いたりして、時にはあきらめたくなっても大丈夫。不可能に思えても、事態は良くなります」
僕の将来の希望は、がんを患うすべてのこども達が、治療を受けて、寛解して、僕の仲間になってくれることです。元患児として、毎朝目覚めることに感謝し、この世界をより良くしようとしています。だから、僕は小児ICU看護師になったのです。患児が晩期障害に悩まされず健康に過ごせるような、副作用の少ない治療法や治療薬を見つけるために、僕たちは行動を起こすことができます。
僕たちの力で、いつの日か、小児がんは過去のものとなることでしょう。
日本語版更新:2020年10月