きょうだいの想い
きょうだいの想い
《きょうだいの手記①》
私の妹の脇腹の痛みから、私たち家族の長い旅が始まりました。私たちはみんな同じ道の途中にいるのに、お互いが何キロも離れているように思えました。妹の病気が私たちの生活の中心になったので、私の心の中では嫉妬、怒り、混乱が入り混じっていました。私たち家族はもう以前と同じようには戻れないのではないかと思いました。
私は、妹に対して憎しみを感じるようになりました。
病気になれば私もプレゼントをもらえて同情してもらえるのに。妹はスポットライトを浴びて立っているのに、私は隅に放っておかれている。みんなは私のことを全く気にかけてくれていない。みんなはいつも私に妹の病状を聞いてくる。私自身が元気かどうかを聞かれたことは一度もない。
妹の体調が悪いのと同じくらい、私は心理的に苦しんでいました。外見的には大丈夫でも、心の中はつらくて死にそうでした。
《きょうだいの手記②》
弟が診断を受けた時は、私は11歳でした。彼ががんになったからといって、私までがんになるわけではないということは理解できる年齢でした。それでも、まだこどもだったので混乱はしていました。
一方、私の両親はものごとを前向きにとらえようとしていました。3年に及ぶ弟の治療期間中、なぜ両親がずっと病院にいるのか私はよく分かっていましたし、「弟はきっと快くなるよ」と両親は絶えず私に言っていました。
時々、父と母の二人共が気落ちして泣き出すことがありました。私には「何もかもよくなる」と言っていました。でも、私が同じように落ち込んでいないと、両親は私に対していら立っているような気がしました。両親自身が「病気はよくなる」ということをいつも信じているわけではなかったのです。しかし、当時の私には理解できませんでした。
それでも、先が見えない中で両親はいつも「弟は、一番優秀なお医者さんが最高の治療を受けているから」と言って私を安心させてくれました。両親は希望を持っていたのです。だから、私も希望を持っていました。
私と弟のために両親が最善を尽くしてくれています。最悪の時期でさえも、両親が変わらずに私たちを愛してくれていることを、私は知っています。