ユーイング肉腫の診断
INDEX
ユーイング肉腫は骨の腫瘍の中で2番目に多い腫瘍です。よく発生する部位は脚や腕の長骨、骨盤、胸壁、脊椎および頭蓋骨ですが、骨ではなく軟部組織から発生することもあります。この腫瘍は若年者に最も多く発症し、その約半数が10歳から20歳までの間に集中しています。
- この腫瘍群には、ユーイング肉腫、非定型的ユーイング肉腫および未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)が含まれます。これらの腫瘍はユーイング肉腫ファミリーと呼ばれることもあります。
- ユーイング肉腫および関連する腫瘍は、米国では小児がん全体の2~3%に相当します。
- 米国では毎年約250人の小児と若年者がユーイング肉腫または関連する腫瘍と診断されています。
ユーイング肉腫の症状は、腫瘍が発生した骨の場所によって異なりますが、通常は以下の通りです。
- 周囲の軟部組織の腫れを伴う腫瘍部位の痛み。
- 転移巣(身体の他部位に到達して広がった腫瘍)がある場合においては、食欲不振、発熱、不定愁訴、倦怠感、体重減少などの全身症状があります。
- その他、腫瘍がある部位に関連する症状があります。
自宅近くの病院で既にX線検査が行われたかもしれませんが、これらの検査は専門医によっても繰り返し行われます。骨の腫瘍が疑われる場合、小児がんを扱った経験がある治療チームによって診断・治療を受けることが重要です。
腫瘍の最も正確な診断は生検によって行われます。この検査では、腫瘍部位から組織標本が採取され、病理医が顕微鏡下で診断(病理組織学的診断)を下します。
進行度の判定
ユーイング肉腫の患者の10~30%は診断時に腫瘍が他部位へと広がった転移巣があります。治療チームが治療に関して最も適切な決定を下すためには、病期分類(腫瘍がどこまで広がっているかを判定すること)が非常に重要です。
その他に行われる検査は以下の通りです。
- 原発腫瘍に対するCT検査あるいはMRI検査
- 胸部X線検査
- 胸部CT検査
- 骨スキャン(骨シンチグラフィー)
- 骨髄穿刺および骨髄生検
予後を判定する上で、診断時における腫瘍の進行度は最も重要な要素です。その他の要素は以下の通りです。
- 原発部位
- 転移の有無
- 腫瘍の大きさ
- 患児の年齢
ユーイング肉腫の原因
何がユーイング肉腫を引き起こすのか、その原因はまだわかっていません。しかしながら、家族の一人がユーイング肉腫であっても他の家族のリスクが高まるわけではありません。
ユーイング肉腫のリスク因子については、次のようなことがわずかにわかっています。
- 米国ではユーイング肉腫のほとんどが東欧系白人とヒスパニック系の子どもに発症します。
- 東欧系白人とヒスパニック系またはラテン系の子どもは、アフリカ系の子どもと比べるとユーイング肉腫を発症する可能性が約9倍です。
- ユーイング肉腫は中国人や日本人の子どもにおいては稀です。
- ユーイング肉腫は女児よりもよりも男児に多く発症します。
米国版の更新時期: 2011年7月
日本版の更新時期: 2012年3月