長期フォローアップについて

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がんが寛解(かんかい)状態にあり、治療直後の副作用からも完全に回復した時に、小児がん経験者のための長期フォローアップが始まります。多くの場合、それは治療終了の約2年後です。長期フォローアップ受診の目的は、小児がん経験者ができるだけ健康な状態を維持し、学校や、最終的には職場で活躍できるように支援することです。全ての小児がん経験者は定期的な診察を生涯にわたって受け続けることが大切です。米国ではこれを「サバイバーシップ・ケア(小児がん経験者のためのケア)」とも呼んでいます。米国では居住する自治体で以下のような様々な施設や方法でこのサバイバーシップ・ケアが提供されています。

  • 最初のがん治療が行われたのと同じ医師や医療機関
  • 小児がん経験者専門の長期フォローアップ施設
  • 居住地域の医療機関(がん治療を行った医療施設としばしば連携しています)
  • ナース・プラクティショナーという専門資格を持つ看護婦(※訳注:米国では医師に代わって専門資格を有する看護師が診察や処方を行うことが認められています)

長期フォローアップをどこで受けるかはさほど問題ではありません。自分の受けた治療や可能な限り健康を保つための特別な方法についてしっかりと理解するため、質問しやすいということが重要です。

米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)は、実施されたがん治療の内容に応じて必要となる経過観察のガイドラインを設けています。これらのガイドラインは、がん治療の終了から2年以上経過してから始まるように設定されています。理想的な長期フォローアップは、小児がん経験者に特有なニーズを理解している、がん経験者の診察経験が豊富な専門医によって行われるべきです。しかし、このような専門医による長期フォローアップ・プログラムが利用できなくても、居住地域のかかりつけの医師や他の小児がんの専門医ががん治療を行った医療機関と連携しながら診察をしてくれます。

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長期フォローアップ受診の方法

このような長期フォローアップのための診察をいつ、どのように受けるべきかについては、主治医や看護師などに確認してください。今まで受診していた小児がんの治療施設で引き続き受診できない場合には、長期フォローアップのために受診できる施設を探すために、住んでいる地域にある医療機関に電話をしたり、インターネットで検索したりする必要があります。

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長期フォローアップ受診の頻度

ほとんどの小児がん経験者は年1回の長期フォローアップ受診を必要としますが、そのスケジュールは個々の状況によって異なります。長期フォローアップ受診の計画を立てるには、必要とされる経過観察の内容について担当医とまず話し合ってください。長期フォローアップのための診察には、小児がん経験者の健康状態を把握するための総合的な検査と、がんの種類や受けた治療、放射線治療・化学療法・手術などによる合併症に基づいた特定の検査が含まれていなければなりません。米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)では「長期フォローアップ・ガイドライン」を作成しています。

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長期フォローアップ受診以外の一般的な受診

小児がん経験者は、ありふれた病気やけがなどの際に受診したり相談したりできる、自宅近くのかかりつけ医を見つけておくべきです。一般的な病気やけがなどは長期フォローアップ・プログラムや小児がんの治療チームの担当外です。新たにかかりつけ医を持つのであれば、病気になる前にその医師とコミュニケーションを取っておくため、検査のための受診予約をしてください。その時は、がんのことを説明するために治療サマリーを持参してください。がん治療と関係があるかもしれない問題が生じた場合、これがあれば、かかりつけ医は長期フォローアップの担当医に相談することができます。

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治療サマリー

小児がん経験者がどのようなフォローアップを必要としているかを判断するために、医療関係者が今まで行われた治療のサマリー(※訳注:今までの治療経過の概要を記録したもの)を持っていることが大切です。そのため、小児がん経験者またはその親御さんはがん治療を受けた医療機関に治療サマリーの作成を依頼すべきです。その治療サマリーは失くさないように大切に保管しておき、診察を受ける全ての医療関係者(例えば、かかりつけ医、担当の小児科医、その他の専門医)にコピーを渡しておきましょう。

がん治療のサマリーには以下の情報を記載しておくべきです。

  • 病名(がんの種類)、診断された日付、がん治療を全て終了した日付
  • 再発があった場合は日付とその詳細
  • 治療を受けた医療機関の名前、所在地、電話番号
  • 小児がんの担当医(がん専門医)および治療チームのメンバーの名前と連絡先
  • 使用した全ての抗がん剤の名前と、それらの投与方法(経口あるいは静注など)
  • 特定の抗がん剤の総投与量(累計的な投与量)および最初に投与された個々の日付
  • 受けた手術名と日付、執刀医の名前
  • 放射線治療を受けた場合は、日付、照射部位、総線量と照射回数
  • 放射線治療の担当医の名前と連絡先
  • 骨髄移植または幹細胞移植を受けた場合は、実施日と移植の種類、移植の担当医の名前と連絡先
  • 骨髄移植や幹細胞移植のために受けた事前処置の種類(化学療法なのか放射線治療なのか、あるいはその両方なのか)
  • 投与された血液製剤の名前と、最初に行われた日付
  • 著しい合併症がある場合は名称と発症日、およびその合併症のために受けた治療の名前と実施日
  • 現在使用中の薬剤名
  • 主な副作用(腎臓や心臓への悪影響などの有無)
  • 以前に留置していた中心線静脈ラインの数と位置

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晩期合併症

がんの治療と関係があり、治療終了後に起こったり治療が終了した後まで持続したりする症状は「晩期合併症」(※訳注:晩期障害と呼ばれることもあります)として知られています。晩期合併症が生じた場合には、それらをいかに早く見つけるかが最善の治療を提供できることにつながります。これが小児がん経験者のフォローアップ受診がどれほど重要であるかという理由です。

 

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