ベネフィット・ファインディング~経験から得られること~
「がんは多くのものを奪うけれども、多くの気づきを与えてくれる」
私が学んだことです。
そして、「人生に集中して精いっぱい生きる」 という決意をくれました。
より深く、より広く、より情熱をもって生きられるようになりました。
この思いがけないギフトは、深い感謝の気持ちを教えてくれました。
以前には気づかなかった他者への思いやりや、自分の強さも知りました。
~ 小児がん経験者、エイミー ~
がんになることを望む人はいないでしょう。しかし、自分や家族の誰かが病気になると、ほとんどの人はがんと向き合う強さがあることに気づき、がんがもたらす困難を切り抜けることができます。
全体的に、小児がん経験者の多くはQOL(生活の質)と幸福感が高いようです。また、このような困難な経験を振り返ると、多くの人ががんを経験して前向きに変わったと感じています。
「入院しなければならない」「学校やともだちと交流ができない」「体調不良で毎日を楽しめない」「将来が心配」など、ネガティブなことを考えがちです。治療中は、こうした気持ちや不快さへの対応に時間が費やされます。治療後は、患児や家族はこの経験を振り返り、自分自身や周囲の環境について考えるようになります。そして、がんを克服すると、多くの人は「自分自身に肯定的になった」「より強くなった」と感じます。
身近な人ががんを患った場合でも、「自分自身を肯定的に捉えるようになる」という変化を経験することがあります。「人生で本当に大切なことに集中できるようになった」という人もいます。人生への感謝の気持ちが強くなり、家族やともだちとの絆も深まり、そして精神的な強さを感じられるようになると言います。
困難に対処する能力の向上や、日常で優先順位をより確実に決められるようになった、と報告する人もいます。自信がついたり、新しい興味や目標を持つようになるのです。
「他の人に恩返しをしたい」「患者のサポート活動がしたい」「患者への情報提供、治療に焦点を当てる組織に参加したい」と考える人もいます。
このように、ネガティブな経験からポジティブになる面を見つけるという考え方は、一般的には「ベネフィット・ファインディング (有益性の発見)」や「ポスト・トラウマティック・グロース(心的外傷後の成長)」と呼ばれています。前者は、経験の中からポジティブな面を見出すことです。また、後者は、深刻な病気の心的外傷(トラウマ)を経験することで、ものの考え方や感じ方がポジティブに変化することを意味しています。
人によって呼び方は違うかもしれません。基本的には同じ意味で、「怖くてネガティブな経験をすることが多い中で、何かポジティブなことが見えてくること」を意味しています。