日本の教育

《方針》

 近年の少子化に伴い、日本においても教育プログラムの見直し、集団規模や施設の再編成、どこに学校を配置など、学校再編政策が進められています。学校再編は、次世代を育成する教育環境、地域、社会へと広く影響を及ぼします。2014年には文部科学省の『平成27年度概算要求における「地域の未来」創成に向けた取り組み』において、学校を中核にした地域活性化支援を打ち出しました。同年に『まち・ひと・しごと創生戦略』が閣議決定し、教育についても言及がありました。「地域コミュニティの核としての学校の役割を重視しつつ、活力ある学校づくりを実現する」という観点から、公立小中学校の適正規模化、小規模な学校の活性化、休校した学校の再開支援などが挙げられています。

《変化》

 社会が急激に変わる今、想像力や表現力を養い、新しいものや価値を創造する人財が求められています。そこで、青少年ひとりひとりの特性を引き出すにために、STEAM教育が注目されています。海外では人財育成にSTEAM教育を国策として注力し、ロボット工学、環境科学、健康科学などを積極的に授業に取り入れています。日本でも、2020年度から小学校ではプログラミング教育を必修とするなど、同様の動きが始まりました。文部科学省主導で、高校での文理分断の脱却、大学での教育プログラムの見直しを進め、各省でも未来に向けて教育と技術の融合を目指しています。

 学びの場も、従来の学校に加え、公立の中等教育学校(中学校と高等学校の一貫教育。高校からの入学はありません)、中学高校の併設型(中学校と高等学校の一貫教育。高校からの入学もあります)も増えています。更には、通信制高校と民間の塾が連携して学習支援を行うなど、新しいビジネスも生まれています。
 遠隔授業、eラーニング、ホームスクーリングも導入されたことで、学校に通うことが困難な児童生徒も教育を受けることができます。ICT教育の導入は多様な領域を巻き込みながら、次世代を世界へ導いて行きます。

 教育、仕事、携わる人々が暮らす地域社会のすべてを包括するのがEdTechEducation×Technology)です。米国では地域の教育計画にもEdTechを反映し、グローバルリーダーシップやグリーンテクノロジーを挙げる学区もあります。前者は青少年ひとりひとりが社会をつくる主体となることを、後者はクリーンテクノロジーや農業科学などによる自律した地域発展を目指そうというものです。ここでも外部のベンチャー企業や地域が学校運営に伴走しています。

これから≫

 すべての青少年は地域社会を担い、更なる次世代へと繋げていきます。彼ら自身が将来を考えて着実に歩みを進め、社会形成に参画します。そのため、個々の才能を引き出す教育はとても重要です。文部科学省によれば、「人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見出していく連なりや積み重ね」をキャリアとし、その教育については「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」と定義しています。OECDの『Entrepreneurship at a Glance2015』によると、海外に比べ、日本は「学校で起業家精神を学んだ」という割合が最小でした。一方で、内閣府の『子供若者白書令和2年』では、「社会のために役立ちたい」という答えた青少年は70.8%で「職業を役に立ちたい」という回答が35.4%もおり、地域社会で活躍したいという前向きな姿勢が伺えます。
 現在のキャリア教育は、在学中に法人企業での職場見学や短期職業体験への参加に留まっています。今後のICT環境の整備により、学校教育外から地域社会の資源を導入し、青少年の起業家精神の育成や、地域社会の持続と発展につながることが期待されます。

【参考】

文部科学省

『特別支援教育』https://www.mext.go.jp/a_menu/01_m.htm
『キャリア教育の推進』https://www.mext.go.jp/apollon/mod/pdf/mext_propulsion_20180223.pdf
経済産業省『起業家精神に関する調査』ttps://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_01/press001/GSE2019_1.pdf
U.S. Department of Educationhttps://www.ed.gov/
生きるための知識と技能 OECD生徒の学習到達度調査 2018年度調査国際調査報告書

日本版更新:2021年3月
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