サポートグループのつくり方 ~米国の例~
サポートには、今すぐ必要なものと長期的に渡って必要なものがあります。
ここでご紹介するサポートグループのモデルはパストラル·ケア(※)です。もとは米国カリフォルニア州にあるキリスト教の教会がつくったものですが、このモデルは必ずしも宗教組織で行われる必要はなく、他の様々な状況でも取り入れることができます。
(※)宗教指導者による心理療法的なケアのこと
《患児をサポートできる人》
・親族(おじ、おば、祖父母、きょうだい、いとこなど)
・友人、近所の人、親の職場の同僚
・患児や親が所属している課外活動のメンバー(習い事や同好会など)
・患児やきょうだいを良く知っている人(近所の人、友だちの親など)
・患児やきょうだいのクラスメイト(高校生以上の場合)
・(パストラル·ケアの場合)その家族が信仰している宗教団体の指導者やメンバー
『パストラルケア』におけるサポートグループのイメージ
《サポートグループをつくる》
- キーパーソンを決める
「手伝いたい」という人たちや関係者との調整をする役割です。患児や家族のことをよく知っており、信頼され、安心して一緒にいられる人です。そのような人が何人かいる場合には、役割をきちんと分担するとよいでしょう。 - キーパーソンと家族の打ち合わせ
キーパーソンは患児の親と打ち合わせをしましょう。
・患児の家族に「サポートメンバーとして参加して欲しい人」を聞いておくとよいでしょう。
・「どのような手助けが必要か」「家族に必要か」「誰に何を伝えたいのか」などを打ち合わせましょう。
・親から治療に関する話もあるかもしれません。個人情報になるので、他の人とどの情報を共有するかを親に確認しておきましょう。 - キーパーソンとサポートメンバーの打ち合わせ
キーパーソンが中心となり、サポートメンバーを引き合わせて調整作業を進めます。
・家族がどのようなサポートを必要としているかを話し合いましょう。
・家族全員に注意を払いましょう。「親は休職によるストレスを感じていないか」「きょうだいにもサポートが必要か」「親にも話し相手が要るか。付き添いの間の息抜きはどうするか」などです。
・具体的なサポートを挙げ、それぞれの役割を決めましょう。
・治療が進むと家族のニーズも変化するため、定期的にサポート内容を確認しましょう。
また、治療や患児の状況によってはサポートを中断することも考えられます。
治療が一段落すると、患児の家族は日常生活の変化を感じます。継続的な治療、学校、親の復職、家事、保険請求などの事務手続きなどにストレスを感じるかもしれません。このような時にはベビーシッターのような役割も家族の助けになります。また、家族と一緒にお世話になった人の名簿を作り、どうお礼をするかなどを考えることもサポートになります。
一般論ですが、最初の数ヶ月間は意欲的にサポートをしてくれる人が大勢います。しかし、がん治療は長期に渡るため、時間の経過とともにサポートチームの維持が困難になります。また、家族がプライバシーの確保を望み、継続的なサポートを望まないこともあります。逆に長期的なサポートを必要とすることもあります。
キーパーソンは家族の状況をみながら、変化するニーズに適応しましょう。