サポートの具体例

わが子が小児がんと診断されたばかりの親は、何が必要かを上手く伝えることができません。
ここでは、患児の親からのヒアリングによる研究成果をもとに、サポートの具体例を挙げています。

 

《生活面のサポート》

・家事
 ペットの世話、掃除の手伝いなどを申し出てみましょう。患児の家族がいつも使用している物をリストにしておくと、代わりに購入して届けることもできます。

・食事の手配
 治療中に買い物や調理の時間をやりくりするのは困難です。「多くの家族が食事を届けてもらって感謝していた」という米国の研究もあります。
 家族によって毎日届けて欲しいという場合もあれば、週に数回の方が良いという場合もあります。サポートの中心となるキーパーソンは、家族とサポートチームの調整をしましょう。例えば、
・食事をクーラーボックスなどに入れて指定の場所に置く
・チャイムを押して声をかける
・何も言わずにそっと置く
・返却不要の使い捨て容器を使う
・使った食器を洗って指定の場所に置いておく
などを決めておきます。
 家族の忙しさ、アレルギーの問題、第三者との接触による感染症の心配など、状況はさまざまです。文化や宗教の違いも関係してくる場合もあります。キーパーソンとサポートチームは、家族ときちんと打ち合わせましょう。

・付き添いの家族に食べやすいものを届ける
 病院に何日も泊まり込んでいる親が、きちんと食事をとっているとは限りません。栄養補助食品、ナッツ、ドライフルーツなどは栄養価が高くて食べやすいです。

《親や家族のサポート》

・話を聴く
 親、きょうだい、可能であれば患児本人に近況をたずねてみましょう。心から気にかけている、いつでも側にいる、前向きな気持ちで聴くことも重要です。親は心配のあまり打ちのめされていることが多く、誰かから愛情や思いやり、そして前向きなエネルギーをもらう必要があります。

・付き添いの親と一緒に運動する
 運動はストレスを軽減し、体調を改善します。週1回、都合がつけばそれ以上、散歩などの時間をつくって一緒に過ごすとよいでしょう。人と会って話す機会を持つというのが重要です。

・付き添いの家族を休ませる
 病院にもよりますが、小児病棟内の付き添いは保護者のみになります。病棟の許可が出た場合、または病棟以外のスペースに出られるような状況であれば、親の代わりに患児の付き添いが出来れば、その間に親は他の用事をしたり、休むこともできます。

・家族の親戚が来る時の送迎
患児の親族が看病や家族のサポートのために、遠方から来ることもあります。その時に、最寄りの空港や駅まで車で送り迎えの必要があるかも知れません。サポートチームにとっては、その親戚とコミュニケーションをとる機会にもなり、お互いが患児のサポートへの理解を深めることができるのではないでしょうか。

《患児のきょうだいのサポート》

・きょうだいの送迎
きょうだいが健康で日常生活を続けることはとても重要です。学校や習い事、年長のきょうだいであればアルバイトなどで夜遅くなることもあります。
 また、患児のお見舞いもあるでしょう。親はこどもたちへの責任を感じながらも、病院ですべきことも山積みで、板挟みになっています。送迎のサポートがあれば、付き添い中の親が他のこどもたちに会うことができ、親の心苦しさが軽減されます。

・患児のきょうだいを外出させる
 スポーツを観戦する、アイスクリームを食べに行く、映画に行く、買い物に付き添う、何でも構いません。泊まりで預かるというのもあります。きょうだいのために何かをする、という気持ちが大切です。

《情報に関するサポート》

・周囲の人たちへの連絡
 知らせる必要がある人たちの連絡先をまとめましょう。伝える内容、伝え方は親と打ち合わせましょう。
親がウェブサイトやブログなどを開設しているのであれば、そちらの運営もサポートになります。
 なお、個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。

・ブログサイトなどの開設、運営サポート
 ブログやSNSの開設や更新して、患児の様子を伝えたり、家族への支援を募ることもできます。しかし、第三者が必要以上に詳しい事情を書き込んでくる場合こともあり、好ましくないことも起こり得ます。

・情報収集
 病院によってはインターネットへのアクセスができないことがあります。医療者や友人から「インターネットで見ておいて」と言われても、その時間さえ取れないこともあります。家族がインターネットにアクセスできていないようであれば、代わりに情報を探す手助けもあります。該当する情報を印刷すると見易くなります。

・学校のことを知らせる
 学校のニュースを知ることで、学校活動の輪の中に家族が居続けることができます。もしもサポートメンバ尾のこどもが、患児やそのきょうだいと同じクラスにいる場合、学校での出来事を伝えるとよいでしょう。

《その他》

・仕事や趣味を活かす
 手芸が得意で患児に帽子をつくる時は、きょうだいにもお揃いで用意する。料理が好きであれば、時々差し入れをする。事務仕事に慣れていれば、さまざまな申告手続きや、各所との連絡調整をする、などが挙げられます。

・献血への協力
 集められた血液は、がんなどの治療のため、輸血や血漿分画製剤(医薬品)の製造に使われます。
(参考)「献血」は命をつなぐボランティア

・経済的な支援(米国の場合)
 米国では、患児の学校の保護者、近所の人、職場の同僚などが、家族の突然の出費のために資金集めをすることがあります。このような動きは、寄付額に関わらず、家計の助けになる上、長く続く小児がんとの闘いの中で家族の心の支えになります。
 一方で、このようなお金を受け取ることや、自分達のために募金が行われることを快く思わない家族もいるかもしれません。家族とよく話し合って活動方針を決めましょう。

日本版更新:2023年2月
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